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不動産屋が嫌われる理由と景気のお話。悪徳・詐欺・うっかりしたら騙される等良いイメージがない訳に納得した実話。


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わたしは、不動産屋・不動産会社と聞くと良いイメージがない。


「なんか足元見てきて、うまいこと言って騙されそう。」と、なぜか、生きてる間にそんな先入観が埋め込まれてる。不動産屋さんってかわいそう…と哀れんだこともある。

 

だがしかし!「だからこう思われるんだ!」

と心底思った、実際に起こったある取引を紹介しようと思う。

 

 

都内に所有するビル(Hビル)を400万高く売却した老夫婦の話。

築40年近いビルを都内に持つオーナーは、はじめにS社(不動産業)に売却の相談を持ち掛けた。すると、S社自身では購入できないため、S社は購入検討できる業者A社・B社を紹介してきた。

S社への相談から3日後の1月24日に、各社はHビルを内覧し、翌日A社は7100万、B社は6,900万の提示があった。

 

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A社は「1月27日までにオーナーからの返事がなければ、他の購入検討ビル2棟に予算を充てたいから、この話はなしで。」と言ってきた。価格提示から2日で買うか買わないか決めてくれ。ということである。

オーナーは、家族でも話さなければいけないし、大切な資産をそんなすぐに返事ができないというと、では1日だけ延ばすと言い1月28日がリミットとなった。

 

オーナーの希望価格は欲張って8,000万。目標は7,500万で売れればいいな、という腹積もりであった。借入れを売却金で返済し、早く楽になりたいという気持ちもあり、7,100万でもいいかと思いながらも、A社の追い立てるような対応には疑問があった。

また同時に他に2社の不動産会社にも相談をしていたが、その内1社からは、「購入先が見つからない、7,100万なら悪くない数字」だと言われ、家族で相談している内に日をまたいでしまい、 結論が出ないまま、結局約束の1月28日中にA社へ返事が出来なかった。

 

1月29日朝方A社から、回答がなかったためこの話はなしで。と断りの連絡があったが、S社が他に7,300万で買いたい中国系の会社(C社)があると言ってきた。内覧せずにすぐに契約できるとのことだ。しかし、S社と専任媒介※1を交わすことが紹介の条件だと言っている。

オーナーは、そんな次から次へと購入の話があるものか?媒介を交わしたいだめの口実なのでは?と、その話自体も疑問になりS社への不信感が膨らみつつ、他に聞いているもう1社の連絡も待っていた。

だが、利息分を返済しているような残債を、一刻も早く失くしてしまいたい。7,100万提示のA社で売っておけばよかったのか?S社の言っていることは本当なのか?果たして7,100万は本当に妥当な価格なのだろうか?と何を信じていいか分からなくなり、大きな不安が募っていた。

※1専任媒介…売却依頼窓口を1社にお願いするという約束。この紙に署名・捺印した場合は、他の不動産会社に相談をすることが原則できない。

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同日の夕方、オーナーは中国系ならお金を持っているのでは?と思い、貪欲と思いながらもS社に7300万を7500万にならないか?と相談すると、C社からは7400万という返答があった。

そしてそのタイミングで、A社からS社へ、この件は今どうなっているかと連絡があり、状況を伝えると、なんと7500万で買いたいと言ってきたのだ。

 

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このやりとりの翌々日1月31日、オーナーはS社が仲介に入りA社と売却契約を締結した。

7,100万の提示から5日後に400万高く売却することに成功したのである。

 

総括

オーナーの心境としては、S社・A社への心象は悪い。

だが欲を出して8000万、本音の目標は7500万で売却したい腹積もりでいたため、希望値で売却することができて御の字である。

 

A社からの最初の価格提示に対して、焦って回答を出さなかったことが、いい結果に結びついたひとつのポイントであると思う。
借入返済をしたい事情を知ってる上で、価格提示から3日後に返事をしなければ、この話はない。なんて、人の心理を利用した詐欺同然だと私は思う。

その時A社が言っていた、他に検討しているビルも、予算を当てたいなんて話もきっと嘘だ。


そんな相手に売却するのは癪だが、A社は自身がそんなやり方をしたために400万も高く買う羽目になったと思えば気も晴れる。(またはもっと高く見積もっていたのかは知る由もないが。)

 

またS社にとっては、売買価格が高ければ高いほど仲介手数料は高くなるため、こちらも気分がいいだろう。
S社は、売主・買主両方から7,500万に対しての仲介手数料が受け取れる。(7,500万×3%+6万円=仲介手数料×2)

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ただ、400万円上がったのはS社の努力というより、オーナーの交渉や判断・もしかしたら運のおかげであると言ってもいい。

 

私からしたら、400万円分の手数料分は払いたくないところが、そこまでオーナーが交渉したかは分からない。

 

不動産は市況により需要と供給が変動する。

不動産価格は、市況に大きく影響する。とくに現在(2019年1月)は、3~4年前より事業用ビルは空室率の低下に伴い賃料の値上げが著しい。
そして事業用の売買も盛んで、物件が枯渇している状況である。つまり、景気が良いのだ。

Hビルはこの市況で売却をして、良かったのだと思う。

 

市況の様子は参考までに下記をご覧いただければ一目瞭然である。

【東京主要5区オフィスマーケット推移表2014年10月~2018年12月】

千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区のオフィスビルの空室率と賃料推移を示したグラフである。空室率の低下に伴い、貸主は強気(賃料を下げなくても決まる)になり、賃料はゆったりと上昇傾向にあるのが分かるだろう。

 

 空室率の推移

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 賃料の推移

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[参照:三鬼商事オフィスマーケット情報]

 

まとめ

Hビルオーナーは、涙を流して7,500万の決着を喜んだという。これで残債を消して、残金を生活費に充てることが出来る。きっと十分な金額であろう。

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結局、不動産会社はこちらで確認ができないことを言葉巧みに言ってくるのだ。

その通りに進まなかったとしても、その証拠もとれない。買い手の事情が変わったなどと言えばどうすることもできない。

例えば中国系のC社が、契約前に急に代表の方針が変わったとか、送金が難しくなっただとか言い様はどうとでもなるのだ。

 

一般顧客には専門的な知識は乏しい。何を信じていいのか分からなくなり、そのストレスや不安から早く解放されたいがために「分かりました」と言ってしまうのだ。そんな弱みに付け込んで利益を出そうとするのが不動産屋の悪しき風習である。

 

この一件で、不動産屋が嫌われる理由がよく分かった。

不動産屋の手口が変わることは期待できない。大切なのは、相手の口車に惑わされれない冷静な気持ちと判断力。またタフな精神力であると学んだ。