日本国籍を取得する「帰化」と、国籍は変わらずに日本に在籍する権利をもつ「永住権」それぞれどんな違いがあるのか?特長と申請方法の違いなどを細かく解説していきます。
帰化と永住権ってそもそもどんなもの?
帰化は、完全に日本人になること。
永住権は、日本人にはならないけど日本に永住できる権利。
そのままです笑
帰化(きか)とは,その国の国籍を有しない者(外国人)からの国籍の取得を希望する旨の意思表示に対して,国家が許可を与えることによって,その国の国籍を与える制度です。日本では,帰化の許可は,法務大臣の権限とされています(国籍法第4条)。
法務大臣が帰化を許可した場合には,官報にその旨が告示されます。帰化は,その告示の日から効力を生ずることとなります(国籍法第10条)。引用元:法務省:国籍Q&A
永住権(えいじゅうけん)とは外国人が、在留期間を制限されることなく滞在国に永住できる権利のこと
引用元:永住権 - Wikipedia
それぞれ何が違いのでしょうか?
帰化と永住権の違う点
日本の国籍を持つことができる | 外国人の身分のまま |
母国の国籍へ後戻りが出来ない | 必要があれば母国へ帰ることができる |
市役所に届ければ自分の戸籍を持つことができる | 自分の戸籍は持てない |
日本の公務員になることができる | 一部を除き日本の公務員になるのは難しい |
選挙権、被選挙権が与えられ、日本の国政に自由に参加できる | 一部の自治体を除き選挙権、被選挙権は与えられず、日本の国政には自由に参加できない |
日本のパスポートを持つことでき、外国で日本政府の庇護が与えられる | 外国人の身分のままなので、そのような日本人としての特権は与えられない |
強制退去制度の適用は受けない | 犯罪や税金の未納等で退去強制制度の適用を受ける |
再入国は申請しないでも自由にできる |
再入国は申請しないとできない |
帰化と永住権の違いを表にまとめました。
個人的には、他に外国へ行くときの空港での出入国手続きの際、「日本人はこちら」「外国人はこちら」とブースが分かれますよね。あれが一緒なのは待ち時間がなくて楽ちんでした。
何が起こるか分からない将来、帰化すると母国へ帰れないというのは自分だったら少し悩んでしまうなと思います。。
それでは、帰化・永住権を取得するためのそれぞれの条件・申請方法などを見ていきましょう。
帰化の条件6つ
- 5年以上継続して日本に住んでいること。正当な住所と在留資格を持ってること。
- 20歳以上であること
- 犯罪や脱税をしてないか。交通違反もやりすぎると×。
- 仕事があり生計を立てていけるか。又は配偶者や親族にその能力があるか。
- 帰化した場合、母国の国籍を失うけど承知の上か。二重国籍はダメ。
- 日本の政府を暴力的に破壊することを計画したりその手の団体に加入していないか。
詳細はこちら
1 住所条件(国籍法第5条第1項第1号)
帰化の申請をする時まで,引き続き5年以上日本に住んでいることが必要です。なお,住所は,適法なものでなければなりませんので,正当な在留資格を有していなければなりません。
2 能力条件(国籍法第5条第1項第2号)
年齢が20歳以上であって,かつ,本国の法律によっても成人の年齢に達していることが必要です。
3 素行条件(国籍法第5条第1項第3号)
素行が善良であることが必要です。素行が善良であるかどうかは,犯罪歴の有無や態様,納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して,通常人を基準として,社会通念によって判断されることとなります。
4 生計条件(国籍法第5条第1項第4号)
生活に困るようなことがなく,日本で暮らしていけることが必要です。この条件は生計を一つにする親族単位で判断されますので,申請者自身に収入がなくても,配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば,この条件を満たすこととなります。
5 重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)
帰化しようとする方は,無国籍であるか,原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。なお,例外として,本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については,この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります(国籍法第5条第2項)。
6 憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり,主張するような者,あるいはそのような団体を結成したり,加入しているような者は帰化が許可されません。引用元:法務省:国籍Q&A
そしてこの条件には、緩和措置も取られています。
厳しい日本国籍取得の条件。少しでも審査に有利になるならしっかり申請しましょう。帰化の申請中に、緩和内容に該当した場合も遅滞なく法務局に連絡し、手続きをとってください。
それでは詳しい緩和の内容を見てみましょう。
帰化申請の基準緩和「簡易帰化制度」
状況 |
緩和される条件 |
日本人の子で、引き続き3年以上住んでいる |
5年以上日本に住んでいなくて良い |
日本生まれで、日本に3年以上住所または居所がある |
|
日本生まれで、父または母も日本で生まれている |
|
引き続き10年以上日本に居所がある |
|
配偶者が日本人で、3年以上居所がある |
5年以上日本に住んでいなくて良い |
配偶者が日本人で婚姻3年以上で1年以上居所がある |
|
日本人の子で日本に住所がある |
5年以上日本に住んでいなくて良い |
日本人の養子で引き続き1年以上日本に住み、養子縁組のとき本国で未成年だった |
|
元日本人で日本に住所がある |
|
日本生まれで生まれつき無国籍で引き続き3年以上住んでいる |
引用:行政書士 西村法律事務所
私の夫は、4,5番目が該当しました。
ある年の7月に帰化申請をし、4ヶ月後に入籍したので途中で法務局に出向き夫婦それぞれ面談を受けました。
これで手続きが早まるかな・・!と思いましたが、実際に帰化が降りたのは翌年の6月。申請から許可までに1年掛かりました。
帰化申請の必要書類
1 帰化許可申請書(申請者の写真が必要となります。)
2 親族の概要を記載した書類
3 帰化の動機書
4 履歴書
5 生計の概要を記載した書類
6 事業の概要を記載した書類
7 住民票の写し
8 国籍を証明する書類
9 親族関係を証明する書類
10 納税を証明する書類
11 収入を証明する書類
12 在留歴を証する書類国籍を証する書面及び身分関係を証する書面については,原則として本国官憲が発給したものを提出する必要があります。
なお,申請者の国籍や身分関係,職業などによって必要な書類が異なりますので,申請に当たっては,法務局・地方法務局にご相談ください。引用元:法務省:国籍Q&A
凄まじい量です。。
日本国内で準備できる範囲のみならず、母国の親族にも協力してもらう書類もあり、不備不足があると再提出のため、その度に法務局や大使館などへ足を運び・・・相当な時間と労力がかかります。
これだけの書類ですので、いざ申請しようと思っても書類が整うまでに時間がかかるのです。そして、やっとの思いで申請し審査が始まっても、追加書類を要求されることも当然のようにあります。
夫は全ての書類を整えていましたが、それでも追加書類があり。最初から言ってくれよー!と私も思ったことがありますが、仕方ない。。
この手続きを、逆に自分が外国でしようと思ったら気が遠くなるし考えただけで泣きそうになります 泣
帰化の許可が下りてからの手続きはこちらで紹介しています。
続いて永住権について見ていきましょう。
永住権の条件
永住者とは、原則10年以上継続して日本に在留していて、下記の3つの要件を満たす外国人が対象となります。
(1)素行が善良であること
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
※日本人の配偶者・子、永住者の配偶者・子、特別永住者の配偶者・子については、①②が免除されます。
※在留資格にも、原則10年以上の日本在留に対しての緩和特例があります。
詳しくはこちら
永住権申請必要書類
※法務省HPより抜粋
帰化申請に比べると圧倒的に少ないです。しかも法務省HPには、「標準処理期間約4ヶ月」とのご丁寧な表記もあり。
永住権も、十分に厳重な審査を行いますが、帰化に比べるとライトです。
法務省発表の平成28年末時点の「在留外国人数の在留資格等別」では,「永住者」が72万強と全体の約3割を占めて最も多い資格でした。永住権は、在留資格と違い更新がなく、就労内容に制限がなくなるメリットもあります。そのため、外国人にとっては日本での生活が格段にし易くなります。
では、なぜ夫は手続きも大変で重くて難しい帰化を選んだのか?
こちらのページにまとめました。